はじめにお読みください――条例解説と問題点
※この記事は、随時補足・更新をしています。
更新履歴:
・2010-03-25 出版労連の要請書のダウンロードページにリンクを張りました。
・2010-03-25 青少協の議事録にリンクを張りました。
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東京都の条例改定は継続審議になったが、問題は終わったわけではない。
これから第2ラウンドが始まるわけだ。早ければ6月の都議会で再び審議が行われる可能性があるし、規制強化を意図した条例改定の動きは大阪府にも飛び火している。今回東京での規制強化が予想外の抵抗にあったことで規制推進側もいささかの危機感を抱いたようで、一時なりを潜めていた国レベルでの児童ポルノ法改定への動きも再び始まったようだ。
次は恐らく今回よりももっと大きな波がやってくるだろう。
ここで与えられた時間を利用して議論を作っておく必要がある。
そのために、この1週間ほどほぼ連日、月刊『創』ブログに書き込んできた経緯を踏まえて、ここに専用サイトを立ち上げることにした。
例えばこの間、様々な団体が出した反対声明など、基本的な資料がこのサイトを見れば全てわかる、というものを目指したいと思う。
今回の条例改定案そのものやどこが問題なのかについても、原資料を見られるようにしたい。→改定案の全文は、こちらをクリック
漫画評論家でもある明治大学准教授の藤本由香里さんらの意見書も参照いただきたい。→こちらをクリック
今回の騒動は、それまで新聞・テレビがほとんど報道してこなかったために、突然降ってわいたように起きた印象があるが、実はそうでもない。
この何年か永田町レベルで議論されてきた児童ポルノ法改定の動きと密接に連動しているし、国レベルで難航している児ポ法改定を条例で先取りしてしまうという意味合いがあった。その昨年来の経緯については『創』2010年1月号で長岡義幸さんがレポートしているので、こちらをご覧いただきたい。
例えばこの間の反対派の議論でも条例と法律を混同したりといったことがあったので少し解説しておくと、今回問題になった青少年条例は、指定された表現や出版物を18歳未満の未成年者に販売や閲覧するのを制限するもので、それを大人が読むことまで規制するわけではない。ただ指定されたものを「有害」図書ないし「不健全」図書と呼ぶことに象徴的なように、そもそも性表現そのものを規制しようという意志のもとにコトが進められるために、指定された出版物は、事実上市場から放逐されることになってしまうというわけだ。
ちなみに条例は自治体によって細かい部分では内容が異なっており、東京都の場合、「有害」でなく「不健全」という呼称を使っているのは、もともと自主規制を重んじ、なるべく上からの規制という色合いが出ないように、という趣旨だった。出版市場は何といっても東京に集中しており、そこでの規制は影響が大きいという現実への配慮もあったわけだ。
しかし、石原都知事のもとで、東京都は積極的に性表現規制の舵取りを行うようになっている。
その意味で今回の騒動は、いきなり天王山の闘いになってしまったわけだが、漫画家を始め表現の側が予想以上に抵抗できたのは、1990年代初めの「有害」コミック騒動で、今回とほとんど同じような体験を経ているからだ。
今回も大きな発言力を発揮した里中満智子さんは、当時から故・石ノ森章太郎さんとともに規制反対運動の代表を務めていた。当時、漫画家と漫画発行出版社が連携して「コミック表現の自由を守る会」という団体が結成されたのだが、その事務局長を『創』編集長・篠田が務めた関係で、そこでの議論は創出版刊『誌外戦』などにまとめられている。

<<< 詳細・ご購入は こちら をクリック
今回は漫画家やマンガファンが大きな危機感を持って声をあげたために、性表現規制の面がクローズアップされたが、実は問題はそれだけではない。例えばこれもほとんど議論されていないのだが、ネット規制強化についても大きな改定が図られようとしていた。
これらのベースとなったのは、この1月14日に出された青少協(東京都青少年問題協議会)の答申だ。→全文PDFはこちらをクリック
第1章が「ネット・ケータイ」であることに明らかなように、マンガに限らず青少年を取り巻くメディア環境全体について考察し、どう規制をかけていくべきかをまとめたものだ。答申だけでなく、議事録も公開されているので、規制推進側がマンガや性表現にどんなふうに予断を持っているかを知ることができる。
この答申素案に対する出版労連の反対意見書もあり、こちら からダウンロードすることができる。
以上の基本的な資料・文献を提示したうえで、以下、3月12日以降の流れについては同時進行の形で書き込んだものをそのまま時系列に表示していくことにする。発表された声明や意見書などは、発表された日の書き込みにリンクを張るという形で、アクセスできるようにしていくつもりだ。
(以上、文責は『創』編集長・篠田博之)
更新履歴:
・2010-03-25 出版労連の要請書のダウンロードページにリンクを張りました。
・2010-03-25 青少協の議事録にリンクを張りました。
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東京都の条例改定は継続審議になったが、問題は終わったわけではない。
これから第2ラウンドが始まるわけだ。早ければ6月の都議会で再び審議が行われる可能性があるし、規制強化を意図した条例改定の動きは大阪府にも飛び火している。今回東京での規制強化が予想外の抵抗にあったことで規制推進側もいささかの危機感を抱いたようで、一時なりを潜めていた国レベルでの児童ポルノ法改定への動きも再び始まったようだ。
次は恐らく今回よりももっと大きな波がやってくるだろう。
ここで与えられた時間を利用して議論を作っておく必要がある。
そのために、この1週間ほどほぼ連日、月刊『創』ブログに書き込んできた経緯を踏まえて、ここに専用サイトを立ち上げることにした。
例えばこの間、様々な団体が出した反対声明など、基本的な資料がこのサイトを見れば全てわかる、というものを目指したいと思う。
今回の条例改定案そのものやどこが問題なのかについても、原資料を見られるようにしたい。→改定案の全文は、こちらをクリック
漫画評論家でもある明治大学准教授の藤本由香里さんらの意見書も参照いただきたい。→こちらをクリック
今回の騒動は、それまで新聞・テレビがほとんど報道してこなかったために、突然降ってわいたように起きた印象があるが、実はそうでもない。
この何年か永田町レベルで議論されてきた児童ポルノ法改定の動きと密接に連動しているし、国レベルで難航している児ポ法改定を条例で先取りしてしまうという意味合いがあった。その昨年来の経緯については『創』2010年1月号で長岡義幸さんがレポートしているので、こちらをご覧いただきたい。
例えばこの間の反対派の議論でも条例と法律を混同したりといったことがあったので少し解説しておくと、今回問題になった青少年条例は、指定された表現や出版物を18歳未満の未成年者に販売や閲覧するのを制限するもので、それを大人が読むことまで規制するわけではない。ただ指定されたものを「有害」図書ないし「不健全」図書と呼ぶことに象徴的なように、そもそも性表現そのものを規制しようという意志のもとにコトが進められるために、指定された出版物は、事実上市場から放逐されることになってしまうというわけだ。
ちなみに条例は自治体によって細かい部分では内容が異なっており、東京都の場合、「有害」でなく「不健全」という呼称を使っているのは、もともと自主規制を重んじ、なるべく上からの規制という色合いが出ないように、という趣旨だった。出版市場は何といっても東京に集中しており、そこでの規制は影響が大きいという現実への配慮もあったわけだ。
しかし、石原都知事のもとで、東京都は積極的に性表現規制の舵取りを行うようになっている。
その意味で今回の騒動は、いきなり天王山の闘いになってしまったわけだが、漫画家を始め表現の側が予想以上に抵抗できたのは、1990年代初めの「有害」コミック騒動で、今回とほとんど同じような体験を経ているからだ。
今回も大きな発言力を発揮した里中満智子さんは、当時から故・石ノ森章太郎さんとともに規制反対運動の代表を務めていた。当時、漫画家と漫画発行出版社が連携して「コミック表現の自由を守る会」という団体が結成されたのだが、その事務局長を『創』編集長・篠田が務めた関係で、そこでの議論は創出版刊『誌外戦』などにまとめられている。

<<< 詳細・ご購入は こちら をクリック
今回は漫画家やマンガファンが大きな危機感を持って声をあげたために、性表現規制の面がクローズアップされたが、実は問題はそれだけではない。例えばこれもほとんど議論されていないのだが、ネット規制強化についても大きな改定が図られようとしていた。
これらのベースとなったのは、この1月14日に出された青少協(東京都青少年問題協議会)の答申だ。→全文PDFはこちらをクリック
第1章が「ネット・ケータイ」であることに明らかなように、マンガに限らず青少年を取り巻くメディア環境全体について考察し、どう規制をかけていくべきかをまとめたものだ。答申だけでなく、議事録も公開されているので、規制推進側がマンガや性表現にどんなふうに予断を持っているかを知ることができる。
この答申素案に対する出版労連の反対意見書もあり、こちら からダウンロードすることができる。
以上の基本的な資料・文献を提示したうえで、以下、3月12日以降の流れについては同時進行の形で書き込んだものをそのまま時系列に表示していくことにする。発表された声明や意見書などは、発表された日の書き込みにリンクを張るという形で、アクセスできるようにしていくつもりだ。
(以上、文責は『創』編集長・篠田博之)
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非実在青少年
"非実在青少年"をデータベースで検索
東京都は「アニメやマンガで18歳以下に見えるキャラクター」を 非実在青少年 と定義し、その性的表現(性行為、他、恋愛、キスとか)を「児童ポルノ」として規制すると言い出しました。
本来、児童ポルノは「実在する子
コメントの投稿
お世話になっております、
毎年6月ごろ催される漫画特集が楽しみな一ユーザーです。
今回のブログ開設、大変感謝いたします。
この問題を適切に伝えていただければと思います。
早速ですがお知らせを。
今朝の産経新聞社説において、偏向記事が掲載されています。
「漫画児童ポルノ 子供に見せないのは当然」
支持母体である自民党の御用聞きでしょうか、
この都条例問題を一切直視せず、さも良いことのように嘘を書き連ねています。
ツイッターではすでに抗議して訂正させるべきとの意見が出ています。
毎年6月ごろ催される漫画特集が楽しみな一ユーザーです。
今回のブログ開設、大変感謝いたします。
この問題を適切に伝えていただければと思います。
早速ですがお知らせを。
今朝の産経新聞社説において、偏向記事が掲載されています。
「漫画児童ポルノ 子供に見せないのは当然」
支持母体である自民党の御用聞きでしょうか、
この都条例問題を一切直視せず、さも良いことのように嘘を書き連ねています。
ツイッターではすでに抗議して訂正させるべきとの意見が出ています。
意図的にやってるんでしょうが児童ポルノの定義に創作物は含まれていないのに
成人向け創作物作品を児童ポルノという言葉を使う所がおかしいと思います。
それに変なのは児童のキャラクターだろうと成人のキャラクターだろうと
成人作品を子供に見せないのは当然です。
もうただ児童ポルノって印象つけるために書きたいだけなんでしょう。
彼らの言い分だと、今の東京のほとんどの本屋は子供の目の付く所に無造作に成人作品置いてあるかのような話を聞くのですが、今はそんな配慮のない店はほとんど無くなっているし、袋詰めなどもされているのでは。
成人向け創作物作品を児童ポルノという言葉を使う所がおかしいと思います。
それに変なのは児童のキャラクターだろうと成人のキャラクターだろうと
成人作品を子供に見せないのは当然です。
もうただ児童ポルノって印象つけるために書きたいだけなんでしょう。
彼らの言い分だと、今の東京のほとんどの本屋は子供の目の付く所に無造作に成人作品置いてあるかのような話を聞くのですが、今はそんな配慮のない店はほとんど無くなっているし、袋詰めなどもされているのでは。
東京都・猪瀬副知事の3月22日 (月)ブログです
「言論表現の自由とは別モノ」
http://www.inosenaoki.com/blog/2010/03/post-7660.html
13歳未満の性交描写を見た(読んだ)不特定多数は、性犯罪者予備軍になる・・・かのような
偏見が垣間見えます
”誤解” しているのは猪瀬氏自身では?と感じます
「言論表現の自由とは別モノ」
http://www.inosenaoki.com/blog/2010/03/post-7660.html
13歳未満の性交描写を見た(読んだ)不特定多数は、性犯罪者予備軍になる・・・かのような
偏見が垣間見えます
”誤解” しているのは猪瀬氏自身では?と感じます
猪瀬氏のブログにコメントを送ってみたのですが、反映される物とされない物の裁量がわかりませんが私はダメだったようです。
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
4/9付朝日新聞の論争欄にこの問題が取り上げられていました。竹宮惠子氏が丁寧でとても精緻な議論を展開しているのに対し、アグネス・チャン氏は事実に基づかない(つまりウソ)、短絡的な感情論を煽り立てていました。
芸能人という「権力」的な立場を悪用し、風説で人々を陥れようとする手口には怒りを覚えます。
芸能人という「権力」的な立場を悪用し、風説で人々を陥れようとする手口には怒りを覚えます。
初めまして。私も以前から一連の法に表現規制には危機感を募らせております。
コメントさせて戴く前に山田久美子さんのご意見も拝見させて戴きましたが、まったくもって同意致します。
GW明けから、都の規制派は反対する団体を丸め込もうとし、読売や産経等は反対派を中傷・誹謗する等、ますます姑息な手段を使う様になっています。逆効果だと言うのに。
一方で民主党も、原口総務大臣がネット規制を提案したり、人権擁護法案を通そうとしたりで、国民を翻弄しています。
上記の事から、何としても廃案に持ち込まねば、と思っております。
そこでこの度、貴ブログとリンクさせて戴きました。
今後とも、よろしくお願い致します。
コメントさせて戴く前に山田久美子さんのご意見も拝見させて戴きましたが、まったくもって同意致します。
GW明けから、都の規制派は反対する団体を丸め込もうとし、読売や産経等は反対派を中傷・誹謗する等、ますます姑息な手段を使う様になっています。逆効果だと言うのに。
一方で民主党も、原口総務大臣がネット規制を提案したり、人権擁護法案を通そうとしたりで、国民を翻弄しています。
上記の事から、何としても廃案に持ち込まねば、と思っております。
そこでこの度、貴ブログとリンクさせて戴きました。
今後とも、よろしくお願い致します。
こんにちは
東京都青少年健全育成条例改正案が今月の14日に条例が通過をしてしまうと言う話を聞いたのですが、本当なのでしょうか?
全くと言っていいほど情報が入ってこないので…。
推進派は、健全な子供と言っておきながら自分とは違うからと言う理由だけで反対派の意見を一切聞かず都民や反対をしている方たちの寄せられた反対意見を無視を闇に葬ると言う暴挙に出て
…。
こういう親に育てられた子供がはたして健全になるのでしょうか…。
東京都青少年健全育成条例改正案が今月の14日に条例が通過をしてしまうと言う話を聞いたのですが、本当なのでしょうか?
全くと言っていいほど情報が入ってこないので…。
推進派は、健全な子供と言っておきながら自分とは違うからと言う理由だけで反対派の意見を一切聞かず都民や反対をしている方たちの寄せられた反対意見を無視を闇に葬ると言う暴挙に出て
…。
こういう親に育てられた子供がはたして健全になるのでしょうか…。
こんにちは。
今年の9月か12月に再提出される東京都青少年健全育成条例改正案は、どうなっているのでしょうか?
否決をされてから情報が入っていましたが、ここ最近は、一切情報が入ってこず、推進派が水面下で行動を起こしているのではないかと心配しています。
それに反対をされていた方々も燃え尽きたように反対の声が聞こえてこないのにも心配しています。
今年の9月か12月に再提出される東京都青少年健全育成条例改正案は、どうなっているのでしょうか?
否決をされてから情報が入っていましたが、ここ最近は、一切情報が入ってこず、推進派が水面下で行動を起こしているのではないかと心配しています。
それに反対をされていた方々も燃え尽きたように反対の声が聞こえてこないのにも心配しています。
12月提出の都青少年育成条例の条文です。
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/20101122seishounenjourei.pdf
6月の条文の斜め上を行く悪文ですが、活動予定はありますでしょうか。
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/20101122seishounenjourei.pdf
6月の条文の斜め上を行く悪文ですが、活動予定はありますでしょうか。
★とんさん
コメントありがとうございます。
先ほどアップした記事の通り、これからも詳細を当ブログ、ツイッター等にアップしていきますので、ご注目ください。
コメントありがとうございます。
先ほどアップした記事の通り、これからも詳細を当ブログ、ツイッター等にアップしていきますので、ご注目ください。